受け取り方は人によるので、答えは風の中

こんにちは。takanoです。

今回のテーマは「同じ情報に触れても人によって理解に差があるので、受け取り方も違う」ということです。
雑記かつ特に結論も無いですが、時間があれば読んでみてください。

同じ情報でも、人によって向き合い方が違う

私が所属している In-house SEO Meetup 実行委員会では、毎週金曜に ISM #香味泡 という検索マーケティング関連の雑談会を開催しています。

そこでの会話がきっかけで、ふと思いついて実施したのが以下のアンケートです。
(ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました)


アンケートは上から順に初心者→上級者になっていくイメージで作成しました。

つまり、回答が一番多かった「本質をつかみたいので情報収集してる」という方は、その領域において基本的なことは把握し、実践もしているけれど、もう少し理解を深めるヒントとして事例を求めている中級者というイメージです。
(回答された方の意図と違っていたら、すみません)

アンケートの結果で、私が個人的に注目したのは、最後の選択肢である「場合による」という回答の意外な多さです。

恐らく、この回答をした方は複数の領域を担当しているのではないかと予想します。
ある領域においては初心者なので目先の指標について知るために、ある領域においては既に本質的な部分を理解しているので、追加で何か軽めに試せることが無いかを確認しに、といった具合です。

その予想に行き当たったとき、色々と頭に浮かんだことを1つずつ整理したいなというのが、今回の記事を書いた目的です。
では、さっそくいってみましょう。

特定の領域における情報の量と、それにアクセスする人の層

特定の領域における情報の量と、それにアクセスする人の層

ある特定の領域において情報収集をしようと思うと、ノウハウやテクニックなど表層的な話が最も数多く世間に流れているはずです。
たまに具体的な事例が公開されていればラッキーで、本質的な話を深く学べる機会はほとんどありません。

それはおそらく、理解・発信する難易度の問題かなと思います。

何の領域でもそうだと思いますが、本質的な部分を理解している玄人は少なく、これから入門しようとしている素人のほうが多いはずです。
そうすると、情報を届ける目的にはよりますが、ターゲット層は素人寄りになりがちです。

また、本質的なコンテンツを作成できる玄人層の絶対数も少ないはずなので、情報を届ける側においても発信の難易度が高いと予想します。
とはいえ、そうして発信された情報には素人層も玄人層も同様にアクセスできます。

つまり素人層に向けたセミナーに玄人層が参加するといった具合に、情報発信の際にはターゲットに関わらず、ターゲット以外の層にもアクセスされるということです。

入口が同じでも、人によってたどりつける内容が異なる

入口が同じでも、人によってたどりつける内容が異なる

自分では大したことのないニュースに思っていても、その領域の玄人が思いもよらない角度から取り上げたりするのを見たことがないでしょうか。
これは、知識や経験の積み重ねによるものが大きいと思っています。

例えば、とある企業のプレスリリースを見た際に、その業界のことを知らなければただのニュースです。
一方でその業界の事情通であれば、そのリリースの具体的な目的まで掴めるかもしれませんし、他企業と比較して業界内の今後の動向にも考えが及ぶかもしれません。

同じノウハウやテクニックの話を聞いたとして、素人層であれば素直に真似をしようとするかもしれませんが、玄人層は「なぜそれが有効だったのか」という根幹の部分や、当事者の状況などを加味したうえで自社に応用できるかもしれません。

このように、同じ情報に触れていても素人と玄人では見えているものが違うということはよくあります。

見えるものの違いと、情報の成分

見えるものの違いと、情報の成分

素人と玄人では見えるものが違うので、同じ情報に触れていても感じるものが違います。
これは、情報に含まれている成分を、受け取り手が摂取できるかどうかの差とも言えそうです。

初心者向けに語る情報に本質的な内容を詰め込んでもリアクションが得られないときは、恐らくこの断絶が原因です。
つまり、情報の受け取り側が表層的な話をまず理解して慣れていないと、何か具体的な事例を語ってもすごさが伝わらなかったり、本質的な話をしても禅問答のように聞こえてしまうでしょう。

情報の発信者という立場で考えると、この成分の案配がとても難しいものだと感じます。
何も本質的な話に触れていないと、玄人層から見て失望されるかもしれませんし、キャッチーで平易な要素も無いと素人層が寄ってきません。

発信したい情報がある場合には「誰に情報を届けるか?届いた後にどうなってほしいか?」という自覚が大事だなと、改めて気付きました。

色々な領域と隣接スキルにおける、素人と玄人の違い

色々な領域と隣接スキルにおける、素人と玄人の違い

例えば、Web の業界だけでも仕事の領域は細かく分かれています。
初めての領域であれば、その分野について初心者向けの情報から触れていくと思います。

一方で、全ての領域が完全に分断されているわけではありません。
少しずつ隣の領域と重なっている部分もあるので、何か1つの領域に詳しくなると隣接した分野の知識やスキルも少し身に付きます。

冒頭で紹介したアンケートで、事例を求めるときの心理が「場合による」と答えた方も、恐らく一部この状態だと想像しています。
具体的には、自身が既に詳しい領域とかけ離れた分野でなく、隣接した領域であれば多少の予備知識をもって臨めるので、効率良く学べる状態ではないかということです。

Web 業界といってもデザインから集客、分析や顧客対応など領域は多岐にわたります。
仮に、その本質の部分が「商売」だとすると、何か1つの領域を一定以上極めて本質に近づいている人は、他の領域について学んだり語ったりする際にも「商売」を意識しているものではないでしょうか。

別領域の素人層が集まった際にはお互いの分野の表層的な話に終始して分かり合えないかもしれませんが、別領域の玄人層が集まった場合はお互いの分野に関わらず本質的な話をして盛り上がれるかもしれませんし、本質的な部分が相互の領域を翻訳して繋いでくれるので理解が早く深まると思っています。

そう考えると、まず何か1つの領域を一定以上極めるということは、むしろ他の領域にも詳しくなるチャンスなのかもしれないと最近は感じています。


さて、特に何か結論は無いですが、今回はこの辺りで締めたいと思います。
今回の一連の話は、改めて書くと「それはそうだよね」と思うのですが、普段は忘れがちなので図とともに文章にできて良かったです。
この情報を受け取った方がどう解釈し、何か気付きがあるかどうか、答えは風の中ですが個人的には満足しています。

今回は「情報の受け取り側」の話について書きましたが、前に「情報を伝える側」について書いた記事もあるので、興味のある方は読んでみてください。

takano.hatenablog.jp

それでは、またいつか!


[追記:2021-07-28]

この記事を 運営堂森野さん が発行しているメルマガ「毎日堂」で取り上げてもらいました。
それがきっかけで森野さんに教えていただいた記事が、とても心に残ったので承諾を得て紹介します。

www.uneidou.com

「同じ情報に触れても人によって理解に差があるので、受け取り方も違う」ことの対策として、「目標やゴールを設定して見ているものを揃える」というのは、例えば組織の中でも有効だと思いますし、セミナーや勉強会などにも応用できそうですよね。
(普段、そうと意識せずに実施している例もありそうです)

これも書いてみると「それはそうか」となるのですが、この記事を読むまでは意識することすら忘れていましたし、改めて気付くことが出来て納得感が増しました。
森野さん、素敵なコメントありがとうございました!